吉村 研究室
加工(モノづくり)分野の研究室
香川大学 創造工学部 造形・メディアデザインコース『吉村研究室』の公式サイトです.
加工,特に塑性加工に関する分野で実験的,シミュレーション的に研究を行っています.
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加工,特に塑性加工に関する分野で実験的,シミュレーション的に研究を行っています.
スポンジや段ボールのように,材料の内部に気孔を含んだ材料であり,剛性や強度が高く構造物の軽量化が可能とされる.また,局所的に変形し,バンパーなど衝撃吸収部材として対物だけでなく対人衝突においても使用できる可能性がある.
代表的なものに大矢根の多孔質体の材料構成式
(相当応力の式)
がある.ここで,
:相対密度
:主応力
:静水圧応力
:材料固有の定数
しかし,大矢根の多孔質体の構成式は相対密度
図 供試材の圧縮試験結果から同定した材料構成式による直方体圧縮解析(密度分布を考慮した解析)
提案式:材料定数を密度の関数として表現した大矢根の多孔質体の降伏関数(相当応力の式)
圧縮と引張をそれぞれで同定した結果
,
圧縮:
引張:
図 材料定数を密度の変数として同定した材料構成式による3点曲げ解析
ポーラス材はセル壁の倒れ込みによるせん断変形によって優先的に変形する様子が見られることから,垂直応力成分の項とせん断成分の項の重みを変更した式を提案.
提案式:せん断変形を主体とするよう改良した大矢根の多孔質体の降伏関数(相当応力の式)
:材料特有の定数
従来の発泡法や焼結法によるポーラス金属では,気孔サイズ・分布が不均一で制御が困難であること,発泡剤や金属粉末のため高価であること,引張に弱くてピラーやバンパーなどの曲げ部材には利用できないことなどが課題であり,塑性加工法を用いてこれを解決するような新ポーラス金属を開発する.順送り微細プレスで作製した鈴形球をコンテナ内でロウ付けした鈴形MHS固化成形体などを開発してきたが,性能的もしくはコスト的に実用化に近い2種類を下記します.
串団子中空球成形体
薄肉小径管を串団子形状に液圧バルジ加工し,錫ハンダメッキによるロウ付けによって固化成形した物.金型を使用してバルジ加工するため,球のサイズや間隔は極めて高精度であり,極めて均質で高信頼性となる.従来の金属中空球(Metallic Hollow Sphere:MHS)成形体とは異なり,球と球の間は管材の横断面で一体であり,管の長手方向は引張にも強く,曲げ強度が高いことから,曲げの衝撃吸収部材にも適用可能.
図 串団子状中空球(中空球列)の固化成形体試験片(左:初期,右:3点曲げ変形後)
格子状ポーラス成形体
パンチ工具とダイス工具を用いて,金属薄板から打ち抜き(せん断加工),畝の曲げ(絞り:鈑金プレス)し,それを積層して,スポット溶接にて固化成形した新ポーラス金属材料.薄肉小径管や錫ハンダメッキが高価なこと,錫ハンダによる固化では接合強度が弱いことから,性能的およびコスト的に解決した新ポーラス金属.溶接個所が多く,プロセスコストは完全に安価とは言えない可能性があるが,大量生産性,素材価格,プロセスコストを極めて削減し,実用化可能と思われるレベルまでに完成している.
図 格子状ポーラス金属の構成要素(鈑金プレス加工による製造)
図 鈑金プレスされた板材を2枚重ねた状態
図 格子状ポーラス金属の圧縮試験片
図 格子状ポーラス金属の曲げ試験片
図 格子状ポーラス金属の3点曲げ試験